数々のマンガ賞で話題になり、アニメ化も決定した【チ。―地球の運動について―】はどんな話?ついに8巻で最終回を迎えたチ。のあらすじや考察。ぞっとする見開きから始まる、【地】と【知】と【血】の3つのチが描かれた物語とは。

タイトルに惹かれて読んでみた作品。
見開きから度肝を抜かれた~。
結論:【地】地動説と【知】知性と【血】暴力のお話。
フィクションだけど、歴史的には同じようなことがあったかもと想像しながら読むと怖くて悲しい。
でも登場人物たちの知性の飢えは、読み手のこちらの知性もくすぶられて、引きこまれました!
” 試し読みできます
“引用:【チ。―地球の運動について― 1巻】魚豊
ebookjapanレビュー: | (4.4) |
*以下はネタバレも一部含んでいますので、ご注意ください。
あらすじ
15世紀のP国。
C教という宗教が主流で、異端者は拷問や火あぶりにされていた。
優秀な12歳の少年ラファウは合理的に生きることで飛び級し、大学で神学を専攻することが決まっていた。
しかし養父の依頼で元異端者のお世話をすることに。そこから少年の運命は180度変わっていく。
面白い?見どころ3ポイント
① 天動説と地動説


【天動説】:宇宙の中心は地球。
地球の周りを太陽や他の惑星が回っている
【地動説】:宇宙の中心は太陽。
太陽の周りを地球や他の惑星が回っている。



昔は天動説が信じられていたのね!
作中の15世紀は、天動説こそが真理とされていた。
ベースにはC教という宗教があり、天動説と地動説の探求と迫害が描かれている。
地動説は異端思想で魔女狩りされ、拷問と火あぶりにされてしまう。
神様は信じているけれど、天文にも興味が湧くなんてことは不自然じゃない。
でもあまり天文をしすぎると異端者と疑われる。
それでも宇宙への知的好奇心から地動説に命をかける人たちの熱い思い。
当時の技術では証明が難しいことでも、科学や技術の進歩にはこういった人たちが紡いできた歴史があるのだろうと感動する。
② 宗教と知性の狭間で動く登場人物たち
第4章に分かれて展開する作中には、様々な価値観を持つ人物が登場する。
- C教を信じる者(大半)
- 地動説に好奇心を持ち、命を懸ける者
- C教こそが正義で、異端者は排除する者
- C教徒だが、異端者にも手を差し伸べる者
- 地動説を信じ託す者
- 異端を解放するため尽力する者
- お金を稼ぐことこそ重要な者
- 自然を信仰する者 など…
命を懸けて地動説を未来に託す勇気。
自由を得るために犠牲をいとわない信念。
C教の為なら異端を傷つける事に何のためらいもない正義。
日本では無宗教の人も沢山いるけれど、外国では宗教を信仰している人は沢山いる。
私も海外でなぜ神様を信じないのかと言われたことが何度かある。
それほど多くの方の人生のベースに宗教はある。
歴史を見ても宗教は、戦争や争いの火種にもなるし、人々の救いにもなる。
このマンガを通しても、信念と信仰のゆらぎが描かれている。
③ 異端審問官ノヴァクという男の生き様
主人公が固定されていないこの物語。
数か月から10年以上の単位で時の流れが進んでいく中で、ノヴァクはよく現れる。
読み手からしたら悪人であるはずが、どうも気になって仕方がない。
目をそむけたくなる拷問シーンも何の躊躇もない。
それもそのはず。
C教こそが正義で、正義のために仕事をしているから。
ふてぶてしい態度も、傭兵上がりで強いところも、娘にだけは甘いところも、悪役なのに人を惹きつける魅力がある。
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登場人物
- ラファウ
12歳で大学入学が決まった神童。合理的な生き方が信条。
頭はいいけど、12歳という設定から、とても素直で真っ直ぐな少年。
チ。の【知】の担当。セリフもとても響いた。 - ポトツキ
ラファウの養父で神学の教師。
ラファウには神学を進めるわりに、家には天文学の資料が沢山あるのだから、ラファウが興味を持つのは当たり前。
自分の身と親心、好奇心でサンドイッチな男。 - フベルト
地動説を研究したことで捕まっていた学者。ラファウと出会い、彼の人生を一変させる。
フベルトから託すということが始まるので、ある意味重要人物。
チ。の【地】の初代担当 - ノヴァク
異端審問官。元傭兵で拷問も難なくこなす。
チ。の【血】を担当する悪役でだるそうなのに、妙な魅力があるやつ。
アニメ化はされる?されない?いつ?
2022年6月22日にアニメ化が発表されました。
放送日は未定です。
制作会社はマッドハウス。
声優さんが気になる!
作品データ
作者 | 魚豊 |
出版社 | 小学館 |
掲載誌 | ビックコミックスピリッツ |
単行本巻数 | 全8巻 |
メディア | アニメ化決定 |
ジャンル | ドラマ/歴史 |
賞 | 「マンガ大賞2021」第2位 「次にくるマンガ大賞2021」コミックス部門第10位 「マンガ大賞2022」第5位 「このマンガがすごい!2022」オトコ編第2位 第26回手塚治虫文化賞マンガ大賞 |
評価 (個人的独断と偏見)
ストーリー | |
絵 | |
キャラクター | |
テンポ | |
ハマり度 | |
推しキャラ | オクジー/別枠でノヴァクは気になる |
この漫画には、沢山の魅力的なセリフがある。
刺さる言葉もあるはずです。
私もラファウが知性と感動について語る1巻から、セリフに魅了されました。
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作品 | 特徴 |
---|---|
ヒストリエ | 歴史作品 |
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ひゃくえむ。
まとめ
いかかでしたか?
- 天動説と地動説
- 宗教と知性の狭間で動く登場人物たち
- 異端審問官ノヴァクという男の生き様
まずは1巻を読んでみて。
ハマったらあっという間に読み終わってしまう作品です。
8巻(第8集)で完結なので読みやすいはず。
最後は驚いて、議論が巻き起こるような内容ですが、気になる方はぜひ読んでみてください。